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Wallace Stevens: The Poetry for survival (1) (dedicated to Professor Katsuyuki Odawara)

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-105- 人文研究 大阪市立大学文学部紀要 第51巻 第4分冊 1999年105頁~123頁 ウォレス ・ステ ィーヴンズ : 生存のための詩(その 1) 古 賀 哲 男 序章 :言語的生存とプラグマティックな印象主義 ひとは自らの生存のために詩を書 くであろうか。 この論文はWallace Stevens(1879-1955)という詩人が自らの生存のために詩を書き、彼の書い た詩は今日に生きるわれわれの生存のための糧となるものであることを立証 しようとするものである。しかし,ひとくちに 「生存」(survival)といっ ても様々な意味の生存があるが,ここでは主として言語的な生存を考える。 「言語的生存」とは言語の持っ論理的,かつプラグマティックな意味におけ る妥当性 (accountability)を詩が備えているということでありl), また同 時にそのような言語的な妥当性のみでは解決しない問題を乗り越えるための 非言語的なコミュニケーション,あるいは人間が自らの生存 (自己保存)の ために行うさまざまな方法を可能にする,(むろん言語による)非現実 ・非 日常的な論理や幻想的 ・非論理的ヴィジョンをも兼ね備えていることを意味 する。このような観点は,スティーヴンズの詩がプラグマティズムと呼ばれ る思想を陸胎していると主張する批評的観点を意味するが,その思想の主な 思想的提唱者として, ここではRalphWaldoEmerson (1803-1882) と WilliamJames(1842-1910)の二人を考えてみたい。 スティーヴンズの詩にエマスンやウィリアム・ジェイムズの思想を跡づけ る研究の方向は,DavidM.LaGuardiaの研究AduanceonChaos(1983) を始めとして,MargaretPeterson(WallaceSteuensandtheidealist TraditioTh 1983),RichardPoirier(TheRenewalofLiteratwe,1987) やFrankLentricchia(ArielandthePolice,1988)等の研究があるが, アメリカ文学全般にわたってプラグマティズムを考えるPoirierの考察は今 (449) 上L1-.1 _JL-~■■■■■一曲 _. -106- 日の米文学 ・文芸批評に深い影響を及ぼしている意味で,特に注目したい2)0 そして,このような言語的プラグマティズムの議論に際して,専ら積極的に デコンストラクション (脱構築)と呼ばれる批評を取り入れて論じている他 のステイ⊥ケンズ批評家,主としてJosephN.Riddel,J.HillisMiller, HaroldBloom等の批評を対比させる。もちろん,今日のスティーヴンズ批 評の流れの中では,MichaelBeehler,JosephCarrol,JamesLongenbach, David氏.Jarrawayといったより若い世代の批評家 ・研究者による修正的 な意見がこういった独創的な先行批評の立場を中和させる傾向があるが,20 世紀も終わりに近づく今日では すでにスティープンズ没後半世紀の時間の 中で堆積する研究や批評の動向の意味に言及しながら,われわれの目指す批 評の方向を主張するつもりである。 例えば,MichaelBeehlerのT.S.Eliot.WallaceSteuens,andthe DiscoursesofDiffeTleTWe(1987)における以下の問題設定は,スティープ ンズ批評におけるある種の展開を示すものとして,我々の批評の方向にとっ て有益である。 エリオットとスティーヴンズにこのようにアプローチすることは,双方の 詩に対して他の問いかけをすることである。なぜなら,もしわれわれが批 評言語によって本質 (essence) と内在 (immanence)の比嶋を差異 (difference)の問題系のみにおいて置き換えるべきであると主張するの であれば,われわれは必ずや本題から逸れ,エリオットの詩のもつ神秘的 で顕現的な修辞やスティープンズの詩の虚構的でアダム的な言語に双方の 差異が消失してしまうような共通要素を認めてしまうことになる。[中略] 本質的内在に対するいかなる訴えかけもある特定の表象理論において行わ なければならない,それは言葉の差異が基本的なロゴスにおいてなくなる とか,比職による迂回が中心的文字性に到達するとか,虚構の失敗が真実 の開示において解決される,といったことを示唆する言語理論においてで ある。(3-4) Beehlerが ここで踏 まえている議論 とは Roy Harvey Pearceの The Co

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