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Structure of Social Exclusion Judging from the Issue of Scholastic Ability : The Mentality of Children in a Cram School

Authors
Publisher
佛教大学教育学部
Publication Date

Abstract

学力低下をめぐる問題のなかで,子どもたちの学力は一様に落ちたのではなく,階層格差をともなって,文化的・社会的教育環境の劣った子どもに大幅な学力低下がみられたことは,これまでの学力をめぐる先行研究によって明らかとなっている。また,学力の二極化は通塾の有無との相関が高いことも指摘されてきている。通塾者のなかにもさらなる二極化が進行していることは「学力問題からみた塾とその機能に関する実証的研究」(『佛教大学教育学部学会紀要第5号』,2006)において実証してきたが,同様の構造が非通塾者においてもみられるのではないだろうか,をリサーチ・クエスチョンとしてさらなる塾調査の分析を進めた。結果的には,仮説が支持されたが,その背景には子どもたちが学力階層をかなりの程度お互いに内面化しており,学力下位層では厭世的ともいうべき自己否定的な価値意識が形成され易いことが明らかとなった。ポール・ウィリス(1977)は,労働者階級の子どもたちが自らを「野郎ども(lads)」と称して進んで屈強な肉体をもつ仲間集団を形成し,一方で,学校文化に親和性の強い富裕層の子どもたちを「耳穴っ子(ear’olds)」と呼んで軽蔑や嘲笑の対象にしていたことを指摘した。こうした知見にもあるように,子どもたちのメンタリティに注目した場合,学力の二極化によって,できる子とできない子との間に「おれたち(we)」と「やつら(they)」の関係が形成されるだけでなく,その乖離がそれぞれの学力カテゴリーの内部においてもみられることが明らかとなったのである。とりわけ学力最下層の子どもたちの自己否定的な価値意識は,イギリスやアメリカで問題となっている社会的に排除されやすい「働く貧困層」のもつ価値意識との共通点が多く,二極化の学力モデルのさらなる進行や就労形態の変化に伴い,今後の日本社会においてもますますこうした現象が起こることが想起されるのである。

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