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Urban Regeneration by Recognition of Regional Resource : A Case Study in Abeno

Authors
Publication Date
Keywords
  • 地域資源 / 都市政策 / まちづくり / 近代長屋群 / 阿倍野地区
  • Regional Resource / Urban Policy / Urban Regeneration / Traditional Japanese Tenement Houses / Abeno

Abstract

14号.ren Ⅰ はじめに 現在,先進国の大都市は,人口の減少,インナーシティ における住民の高齢化といった諸問題を抱えている。こ うした問題を解決しつつ,住民,人材,企業をひきつけ る魅力ある都市を形成することが各都市に共通の課題と なっており,その実現に向けて様々な都市政策が展開さ れている。 近年では,創造都市論への注目にも示されるように, 文化的な環境の創出と都市のアメニティの整備が重要性 を増している(フロリダ2010)1)。例えば,都市政策と 関連が深い都市デザインの分野でも,地域の自然や歴史 を無視した均質的な景観形成を行ってきた反省から,統 一のとれた街並み,地域性,自然との共生といった価値 観が再認識されるようになってきている2)。歴史的な建 造物や街並みを維持しつつ特色ある都市空間を整備する ことは,今後の都市政策の中でも重要となってくると考 えられる。 歴史的な建物の活用に対する関心の高まりは一般的な 傾向でもある。1990年代後半から,建築の分野でリノ ベーションという手法が市民権を得ていく中で,都市に 残された長屋や町屋といった伝統的な木造建築は,住宅 や店舗へと再生されるべき良好なストックと考えられる ようになった。長屋を改装したカフェや雑貨店等が狭隘 な路地に立ち並ぶ光景は,もはや珍しいものではなくなっ ている。従来その価値を見出されなかった長屋・町屋, さらには生活の営みを感じさせる路地の風景が人々の関 心を引くものとなっている3)。大阪市でも,北区の中崎 町や中央区の空堀地区のように,大規模商業集積地の近 隣でこうした事例がみられている。 都市の空間整備は行政のみによって担われているわけ ではない。とりわけローカルなコミュニティが果たす役 割が大きい。この点について,弘本(2009)4)や川端 (2008)5)は,空堀地区の長屋を改装し商業施設に転換 する「からほり倶楽部」の長屋再生プロジェクトを取り 上げ論じている。弘本は,彼らの取り組みが長屋街とい う価値を現代に継承させ,新しい業種や住民の流入が街 の魅力と持続性を高めているとしている。この際重要な 点は,まちづくりがしばしば外部の人材を必要としてい ることである。川端は,再生プロジェクトの主要メンバー が地域外出身者で構成されていることに触れた上で,地 区の活性化の過程においては外部のアクターが重要な役 55 地域資源の「発見」を通じた地域再生の取り組み 大阪市阿倍野地区を事例として 川 口 夏 希 ◆要 旨 本稿が研究対象とする大阪市阿倍野地区は,戦前の郊外開発によって形成された郊外住宅地である。当時 の中流階級に好まれた意匠を凝らした近代長屋群が大量に建設され,現在でもその多くが残存している。本 稿ではまず,大正末期から昭和初期にかけて,どのような社会的背景と都市政策の中で当該地区に長屋群が 建設されるに至ったのか明らかにする。次に,大阪市の現代都市政策の中で阿倍野地区の空間形成がどのよ うに方向づけられているのかについて,密集市街地整備施策,HOPEゾーン事業との関連で論じる。さら に,建築家・職人・地元住民で構成された「ASSUの会」の活動を取り上げ検討する。「ASSUの会」が地 域の中にネットワークを構築しながら活動を展開してきたことと,その活動の中で長屋の価値を地域住民に 発信することでメンバー自身がその価値を再確認していく過程を検討する。 キーワード:地域資源,都市政策,まちづくり,近代長屋群,阿倍野地区 (2011年9月13日論文受理,2011年11月4日採録決定 『都市文化研究』編集委員会) 都市文化研究 StudiesinUrbanCultures Vol.14,5569頁,2012 ◇研究ノート◇ 割を果たすと論じている。通常,地元住民によるまちづ くりにとっては意見や利害の調整が足枷となることが多 いが,地域外のアクターは,これを回避しプロジェクト を進めることができる。 もちろん都市政策の影響も無視することはできない。 空堀地区は,大阪市の施策「HOPEゾーン事業」の対 象ともなっている。「HOPEゾーン事業」は,町屋・長 屋,近代建築,寺社,緑地等を地域の資源として位置付 け,それらを有する地域のまちづくり活動を支援するも のである。空堀の他にも,平野地区や船場地区,天満地 区等で歴史的建造物の活用やまちづくり支援が進められ ている。 とはいえ,多くの地域では近代建築,町屋・長

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