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転換期の福祉国家における社会福祉運営に関する研究 : 英国行政改革をめぐる福祉政策の展開

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氏     名  佐々木 博 光 氏 名 岡 田 忠 克 学 位 の 種 類 博 士(学 術) 学 位 記 番 号 第4382号 学位授与年月日 平成15年9月29日 学位授与の要件 学位規則第4条第2項該当者 学 位 論 文 名 転換期の福祉国家における社会福祉運営に関する研究 -英国行政改革をめぐる福祉政策の展開- 論文審査委員 主 査 教 授 白 澤 政 和 副主査 教 授 坂 口 正 之 副主査 教 授 畠 中 宗 一 論 文 内 容 の 要 旨 研究の背景と概要 第Ⅰ部 転換期における福祉国家と政治理念 第1章 転換期の福祉国家と社会福祉運営をめぐる動向 -市場指向と福祉多元主義 第2章 福祉国家の変容と行政改革 -サッチャリズムと福祉政策 第3章 福祉国家と「第三の道(The Third Way) -ブレア政権の政治理念と政策実践 第Ⅱ部 英国対人福祉サービスをめぐる政策展開 第4章 英国におけるコミュニティ・ケア政策の展開 第5章 英国における自治体社会福祉行政の役割転換 -供給主体から条件整備主体へ 第6章 英国対人福祉サービスと準市場概念(Quasi-Markets) 第7章 シチズン・チャーターの制定とコミュニティ・ケア政策 -グロースターシャーの事例から 第8章 メジャー政権以降のコミュニティ・ケア政策と近代化 -1997年白書と1998年白書の提案 第9章 対人福祉サービスにおける行政評価制度の導入 終 章 研究の総括とわが国への示唆 福祉国家は、転換期を経て新たな段階に入りつつある。20世紀において各国で目標とされた福祉国家とは、 所得保障、医療保障、対人福祉サービスなどの諸政策と完全雇用を基本政策とする。ケインズ経済学に基づい た混合経済体制である。その役割は、国家が積極的に社会に介入していくことによって資本主義経済が構造的 にうみだす社会問題の解決に向けて取り組むことを目的としている。 この福祉国家は、1970年代以降に起こったオイルショックをはじめとする世界的な不況を契機として一転し、 世界的に見直しをせまられた。英国ではサッチャー首相によって、また、アメリカではレーガン大統領によっ て福祉国家の再編が進められた。わが国においても行財政システムの見直しが進められ、「日本型福祉社会」 の構築を旗印に、補助金の削減や高齢者医療の一部負担などの社会保障・社会福祉改革が推進された。「福祉 国家の危機」と呼ばれた時期以降、各国ではさまざまな改革が行われている。 英国では1980年代以降、福祉国家のあり方が大きな課題となった。英国では高齢化への対応、オイルショッ クによる財政危機に直面する中で行財政改革が実施された。そこでの主要な改革は、国家を必要最低限の役割 を果たすものとして位置づけ、その機能を縮小させていく「小さな政府」の構築を目指すものであった。また、 その戦略は、市場原理を公共サービスに導入し、効率性を重視したサービス供給を指向するものであった。1979 年にサッチャーが政権を獲得して以来、政府はとりわけ支出超過が著しい対人福祉サービス供給のあり方につ ― 99 ― いての強い関心事となっていた。 こうした状況を背景に「福祉国家の危機」以降、プライバタイゼーション、分権化と並んで「福祉多元主義」 (welfare pluralism)といった考え方が、対人福祉サービスの分野で唱えられている。英国では政府の方針に 従って、営利を目的とする民間営利部門が対人福祉サービスを提供していくという動きが強まった。福祉国家 における経済システムは、公的機関と民間企業との「混合経済」を形成しているが、社会福祉部門においても 公的サービスと民間非営利サービスに加えて、民間営利サービスが新しく参入する傾向をみせている。ただ、 1997年の新政権樹立以降、ブレアは福祉国家の見直し、政府の近代化、社会サービスの近代化のためにさまざ まな政策提案を行っており、これまでの保守党政府が抱えてきた負の遺産を一掃しようとしており、新たな社 会民主主義としての「第三の道」を目指している。 福祉国家の母国としての英国の位置は、理念・実践とともに、戦後の国家形成において重要な役割を果たし ている。また、その重要性は単に先進的に福祉政策を展開している点だけでなく、その福祉政策の

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