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都市における小売商業施設の立地 : 土地利用計画による調整に向けて

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- 66 - 氏 名 中 川 万喜子 学 位 の 種 類 博 士(商 学) 学 位 記 番 号 第 4915号 学位授与年月日 平成 18年 9月 29日 学位授与の要件 学位規則第4条第1項該当者 学 位 論 文 名 都市における小売商業施設の立地─土地利用計画による調整に向けて─ 論文審査委員 主 査 教 授 西 村 弘 副 査 教 授 鈴 木 洋太郎 副 査 助教授 加 藤 司 論 文 内 容 の 要 旨 中心市街地の衰退が問題となって久しい。これまで活性化のための様々な施策が講じられてきたものの、十 分に有効な成果を上げている都市は少なく、むしろ状況は深刻化している。この原因として、地域での取り組 みの主体やその方法にも問題があろうが、より根本的な問題は中心市街地空洞化に歯止めがかけられず、各種 都市機能が郊外に拡散してしまっていることにある。中でも、商業施設の郊外開発は、従来の郊外居住の進展 にともなった開発と異なり、周辺都市から集客を目的とした大規模商業施設の開発へと変化し、周辺都市の既 存市街地の商業に与える影響が問題となっている。そこで本稿では、小売商業施設に焦点を当て、中心市街地 活性化の取り組みの前提となる郊外地での開発コントロールや都市間での調整がどのようになされてきたのか、 なぜそれがうまく機能していないのか、その原因の検討を行った。 本稿は3部構成となっており、第1部(第1章)では、本稿が議論する問題の所住を明らかにするため、滋 賀県長浜市の中心市街地活性化の取り組みについて取り上げた。この実際の現場の取り組みを分析し、数少な い成功例と言われる長浜においても、様々な主体が連携した積極的な取組みによって成果を上げているものの、 郊外地での開発コントロールや都市間での調整を行う制度的な枠組みが構築されない限り、その成功が覆され てしまう恐れをもつといった限界が存在することを明らかにした。 第2部(第2章~第3章)では、わが国における小売商業施設の立地に関する政策の歴史的展開とその限界 について述べた。小売商業施設の立地政策については、大店法による商業調整から都市計画にもとづいた土地 利用規制による商業施設の立地誘導へと、流通における大きな政策転換が行われた。こうした歴史的展開を見 る中で、商業施設の望ましい立地誘導を行うには、都市全体における商業構造をどうするかという計画と調整 が必要となるということが明らかにされた。しかし、流通政策の転換によって土地利用計画による調整という 考え方が導入されたものの、緩い土地利用規制の下で、計画的な商業施設の配置は行い得なかった。それには、 ①土地利用に関する法令制度上の総合性の欠如、②都市計画法の限定性と土地利用規制への非力、③都市計画 における地方分権化と広域視点の欠如といった、現行都市計画法体系による土地利用計画の限界があった。 こうしたわが国の小売商業施設の立地に対する規制・誘導政策に対して、欧米主要国では、小売商業施設の 立地に関しても、都市計画による土地利用計画にもとづいて規制が行われてきた。第3部(第4章~第5章) では、この中から、アメリカにおける小売商業施設の立地に対する規制・誘導政策について取り上げ、本格的 な土地利用計画による調整を目指すわが国にとって、将来の展望や可能性を考えるための示唆やヒントが得ら れた。 アメリカの政策の中でも特に注目されるのは、90年代に入って開発規制強化に向かっていることである。そ の要因の一つが、大規模小売店に対する認識・評価の変化であり、その認識や評価を変化させたのが、大規模 商業施設の開発に対する出店影響調査や実証研究に関する情報の公開と共有であった。また広域調整のための - 67 - 税源共有制度の試みは、同じく広域調整に悩むわが国にとって、非常に興味深いものであった。 今後、わが国でも、都市郊外部への商業施設開発に対する規制が強化されようとしているが、アメリカでの 政策やその動向、考え方などを参考にしながら、都市全体における商業構造をどうするかという計画と調整を 実体のあるものにしていく努力が、政策面、運用面の双方でますます必要になるといえよう。 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨 近年、わが国では大規模小売商業施設の立地と中心市街地空洞化との関係が注目を集めている。1998年以降、 中心市街地活性化法を始めとする、いわゆる「まちづくり三法」が制定されてきたが、中心市街地の空洞化に は歯止めがかからず、三法の見直

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