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An International Comparison with Security Reports for Non-Financial Firms between U.S. and Japan : A Brief Note

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67 〔研究ノート〕 財務データの日米比較に関する覚え書ぎ(一般企業編) 打田委千弘 ・竹贋 良司・大 日康 史 Ⅰ は じめ に 近年,企業のシステム的な分析 (企業システム論)が盛んに行われている (青木(1995),小 佐野(1996),青木 ・奥野(1996))。これは企業の様々な側面の諸特性が他のシステム (財市 場 ・労働市場 ・資本市場および企業内部組織といった企業内外の制度や慣習)によって相互補 完的に関連し,機能するというものである。システム論では企業行動は各国の重層的で複雑な システムを背景として特徴づけられることになる。企業システムの理論的分析は次々と発展を 遂げ,今後,これにともなう実証的分析も飛躍的に進められるであろう。その際に,重要とな るのがデータの問題である。実証分析を行う上で必要なことは,企業,消費者,政府などの重 要な経済主体の行動が適当なデータで描写もしくは代理できることである。特に企業行動を対 象とした分析を行う場合,種々の財務的要因を反映する企業変数を用いることが有効である。 また,企業固有の効果を考慮するならば,法人企業統計年報 (大蔵省)のような集計データで はなく,各企業の個別データの利用が欠かせない。このように,企業行動に関する分析には, 有価証券報告書により入手可能な企業財務データを用いたパネル分析1)がきわめて有用である。 しかし,これまで実証分析においてはいくつかの制約により企業財務データによるパネル分析 が妨げられてきた。これについて3つの阻害要因を指摘することができる。' 〔キー・ワ-ズ〕 配当,内部留保,労働コスト,ファイナンス,収益性 *本稿で使用したCOMPUSTATは立命館大学1994年度基本図書整備プロジェクト「企業財務デー タを用いた日米の企業行動の実証的研究 (代表者 :稲葉和夫経済学部教授)」により整備されたもの である。また,NEEDS日経金融財務データについては同志社大学経済学部により1994年度に整備さ れたものである。 データの利用に際しては大阪市立大学の大日康史 (立命館大学上記プロジェクト共 同研究者)を中心にする3人によって作成したデータベースを用いている。 1) 企業財務データおよびパネル分析の有用性については打田・竹鹿 ・大日(1997)で論じられている。 なおパネル分析の詳細についてはBaltagi(1995)などを参照せよ。 68 経済学雑誌 第97巻 第5・6号 第1の要因は進んだ計量手法に対する続計解析ソフト (TSPやStata2)等)の不十分な対応 である。従来,統計解析ソフトではパネル分析への対応が十分でなく,時系列データあるいは クロスセクションデータに関する回帰分析に重点を置かざるをえなかった。統計解析ソフトの 機能的制約からパネルデータを容易に分析に利用できないことにより,データに含まれる有用 な情報を結果に反映させることができなかったのである。 第2の要因は莫大なデータ量の問題である。数千企業に対し数百という変数を数十年分の データとして入力することは個人の研究では不可能であった。また,たとえ入力できたとして ち,そのデータ容量は数十ないし数百メガバイトにおよび,実際に計算する上でのハンドリン グの問題も避けられない。このような莫大なデータの入力 ・処理は従来の計算機の処理速度 ・ 記憶容量では非常に困難な作業であった。 第3の要因はデータ利用及び結果の分析のためにある程度の会計知識が必要なことである。 分析上必要な変数に対して適切なデータ系列を見出すためには,最低阪,会計用語についての 認識と基礎的な簿記知識が不可欠である。経済学を研究基盤とする研究者にとって,実はこの 第3の要因がもっとも大きな障害となっているのである。 最近数年の間に第1と第2の要因については大きく緩和され,財務諸表ベースでのデータの 利用が十分可能となった。第1の要因に関する問題は統計解析ソフトの対応によりパネル分析 がきわめて容易になったことにより解消された。これによりデータに含まれる情報をできる限 り結果に反映させることが可能となったのである。第2の要因についてはデータベース会社に よるデータの磁気化と磁気媒体によるデータ供給により,膨大なデータ利用が可能になったこ とで大 きく緩和された。詳細は次節で述べるが,現在, 日本の財務諸表については日経 NEEDSとして,また,米国に関してはCOMPUSTATとして販売されている。実際,これ らのデータベース自体の解説や他の公表データとの比較を行っている研究 (Beanan

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