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ソ連構成共和国の家計統計データベースの再構築:住民貨幣収支バランスの活用とCIA推計の評価

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Abstract

本稿の課題は,1960−1989 年におけるソ連及びその構成共和国の公式経済部門に由来する住民の貨幣所得・支出を,アーカイブ所蔵の住民貨幣収支バランスに基づき推計することにある.ソ連期において,家計関連統計は原則的に機密として扱われ,公表されてこなかった.それが部分的にでも公開されるようになったのは,ゴルバチョフによるペレストロイカ以降のことである.しかし,その情報公開や統計整備は,いまだに十分であるとはいえない.現存する問題は(1)統計公表の時期的制約性,その上,(2)共和国ごとに異なる公表度の問題,(3)統計の詳細さの欠如,(4)統計体系の相違の問題に集約される.CIA を中心とする先行研究では,公式統計に大きく依拠した形で代替推計が行われた.ソ連崩壊後の公表統計と比較すると,それは貨幣所得面では約4%の過小評価,貨幣支出面では1%程度の過大評価が確認される.また,代替推計は,基本的に,ソ連全体レベルに止まっており,また資料上の制約から共和国レベルへと拡張することが極めて難しい.また,あえて何らかの推計を行ったとしても,共和国間の比較可能性が担保されないため,現在においても,共和国レベルのマクロ経済分析に適した家計関連データが不足している.そこで,本稿では,この問題を克服する上で,ロシア国立経済文書館所蔵の住民貨幣収支バランスに関するアーカイブ資料と,ロシア銀行アーカイブ資料に基づく新推計を提示した.

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