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Social Insurance Application Problem to Part-time Workers

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跡見学園女子大学
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パートタイム労働者への社会保険適用問題 ─  ─83  本稿では、基幹労働のパートタイム化に伴う、年金、健康保険などの社会保険の適用問題につ いて、第 3号被保険者制度の適用対象とならない母子家庭の母など既存の社会保障の枠組みから は排除されやすい社会的弱者の立場から考えてみたい⑴。 1 パートタイム労働者の増加・基幹化  バブル崩壊後、企業は雇用者の賃金にかかるコストを引き下げるため、パートなど、いわゆる 非正規雇用者の割合を高めた。パートの雇用理由(複数回答)をみると、「人件費が割安なため」 とする事業所の割合が 49 パーセントと最も多い⑵。2006 年以降、雇用者のおおむね 3人に 1人 が「パート・アルバイト」「派遣社員」「契約社員・嘱託」等の非正規雇用者となっている⑶。さ らに、近年、短時間労働者であるパートタイム労働者の雇用が男女とも増加している。また、以 要  旨  近年、パートタイム労働者が増加し、基幹労働のパートタイム化が進んでいる。こうした現状を 踏まえ、パートタイム労働者に対して社会保険の適用を拡大する法改正が成立した。しかし、この 法改正は、事業主団体の反対に配慮した結果、適用対象の拡大幅が十分ではない内容となっており、 社会的弱者の保護、社会的公正を実現する観点から問題がある。例えば母子家庭の母のように、パー トタイム労働者には、既存の社会保障の枠組みからは排除されやすい社会的弱者が少なからず含ま れているため、その是正は特に重要である。 キーワード:パートタイム労働者、第 3号被保険者、母子家庭 跡見学園女子大学マネジメント学部紀要 第 16 号 (2013 年 9 月 10 日) パートタイム労働者への社会保険適用問題 Social Insurance Application Problem to Part-time Workers 鳫 がん    咲 子 Sakiko GAN 跡見学園女子大学マネジメント学部紀要 第 16 号 2013 ─  ─84 下のように基幹労働のパートタイム化が進んでいる⑷。  「平成 23 年パートタイム労働者総合実態調査」によれば、正社員とパートタイム労働者の両方 を雇用している事業所のうち、16.7 パーセントの事業所に「正社員と職務が同じパートタイム労 働者」がいる⑸。パートタイム労働者から見ると、65.6 パーセントの者が上司の指示に従って補 助的な単純業務を行うだけではなく「自分自身の責任、判断で仕事を行っている」、48.9 パーセ ントの者が「同じ内容の業務を行っている正社員がいる」と認識している。学生がアルバイトを している大手外食チェーン店でも、店長が長期空席で、アルバイト同士で勤務時間のシフトを決 めているという話も聞く。  パートタイム労働者を雇用している事業所の割合が高い産業には、「宿泊業、飲食サービス業」 (88.5 パーセント)、「医療、福祉」(83.8 パーセント)、「卸売業・小売業」(71.7 パーセント)がある。 その雇用理由は、全体では「労務コストの効率化」(49 パーセント)、「仕事内容が簡単なため」(37 パーセント)、「忙しい時間帯に対処するため」(36 パーセント)が高くなっている。パートタイム 労働者を雇用している事業所の割合の高い産業で多くの事業所が雇用理由として挙げているの は、「宿泊業、飲食サービス業」では「忙しい時間帯に対処するため」「定期間の繁忙に対応する ため」、「医療、福祉」では「忙しい時間帯に対処するため」「経験・知識・技能のある人を採用」 である。  この分野の企業では、従来のパートタイム労働者のイメージにある補助的な単純作業を行う労 働者としてよりも、むしろ正社員の代替となる基幹的な労働力としてパートタイム労働者を活用 するケースが増えているといえよう⑹。 2 パートタイム労働者の社会保険加入状況  公的年金制度、健康保険制度など社会保険制度は、主としてフルタイムの正規雇用者による就 労を前提に設計されており、非正規雇用者の増加という雇用形態の変化への対応が遅れている。 以下では、年金制度を中心にパートタイム労働者の社会保険加入状況について述べる。  公的年金の加入状況を雇用形態別にみると、「正規の職員・従業員」と比べて、「契約社員・嘱 託」「派遣社員」「パート・アルバイト」では厚生年金・共済年金加入者⑺の割合が低く、国民年 金第 1号被保険者や公的年金に加入していない者の割合が高い⑻。特に「パート・アルバイト」 では厚生年金・共済年金加入者の割合が低く

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