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The Idea of ‘Human Nature’ in Tom Jones

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Abstract

- 42- Tom Tonesにおける HumanNature 樋 口 欣 ・ー・圃園田園. -陶d・・ -・・・・・・4・ Henry Fieldingは TomJonesの第1巻第1章において,作者のLJ分を 飲食庖の経営者にたとえ,客である読者に作品の内容, つまり客に出す料理 の品音をお知らせするとして,I人間性J(Human Nature)乙そその料理で あると述べている。彼はさらに言葉を継いで乙う言っている。 . ..nor can the learned reader be ignorant, that in Human Nature, tho' here collected under one general name, is such prodigious variety, that a cook will have sooner gone through all the several species of animal and vegetable food in the world, than an .author will be able to exhaust so extensive a subject. Fieldingは「人間性」には無限の多様性がある乙とを認めながらも,そ れはあくまで「人間性Jという明確な観念のもとに括ることのできるある堅 固な実体である乙とを示唆しているのである O 乙のように人聞を人間性という 普遍的な実体をもっ 存在とみる見方は, Tom Jones (1749)より16年ばかり前K出版された AlexanderPopeの An Essay on Man (1733.-34)に論じられている人間性についての見解を思い 出させる のである。 Popeはζの思想詩で 「人間の本性および状態J(the Nature and State of Man)を,字宙の存在の連鎖における人間の位置,個人 としての人間の内面,人間の社会的存在の条件,生の目的としての幸福など の側面からそれぞれ論じて,人間の生き方の規範となる道徳の穏健中正な体 系を打建てようとしている。 Popeの方法は人間を神の意志によって与えら れた立場を守るべき存在として,目的論的にみようとするものであるが,小 説家 Fieldingの方法は社会的存在としての人間の生き方の具体的な怪実を 検証しながら, i人間性Jの存在様態を明らかにしようとするものである。 しかし両者はともに人間性というすべての人聞に共通する実体を信-じ,そこ (414 ) Tom ]ones における HumanNature -43一 から人聞を眺める という視点をもっている点は留意しなければならない。小 論では Fieldingのこのような人間観が TomJones においてどのような形 をとって表わされているかを,主人公 TomJonesおよび Blifil~ζ焦点を 絞って若干基礎的な考察を試みたい。 E 「人間性」を普遍性をもっ実体とみる静的な観点からは, 人間の生き方 を規範的に捉えようとする見方,つまり道徳的判断によって行為と動機を 捉え人聞を理解しようとする見方が生まれてくる。その点では Fielding と Popeの立場に変りはないが,ただ小説家である Fieldingの場合,論理 の妥叶性を論証しようとする思想詩の詩人の場合と異って,r主題よりはそ れを料理する作者の腕前J(less in the subject, than in the author's skill in well dressing it uめζ重点が置かれる O 換言すると人間性というただ 一種矧の材料からさまざまな味を引出して,その様相の多様性のなかに具体 的なイメ ージをもった人間性を提供しようとする点が違っているのであるO Tom Jones において作者の人間観, 道徳観をもっとも鮮やかに示してい るのは,Tom Jonesと Blifilの生き方とその結果である。 Jonesは孤児と して,また Blifilは甥としてともに Al1worthyのもとで育てられていて, 二人が同じ環境におかれている乙とは,彼らの対比が純粋な条件のもとで行 われる乙とを意味し,それだけ読者に対照を明確に印象づける乙とになる。 主人公は生まれたばかりの赤児のとき,Allworthyのベッドで発見される が,おそらくはいかがわしい関係から生まれた子供として,Allworthy の 慣押をも無視した慈悲深い寛容さによってのみ救われる乙とが可能であっ た。 火巾 Deborahと主人との赤児発見をめぐっての会話が,その聞の事情 をなにより

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