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Constructing New Macroeconomic Models (Japanese)

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Abstract

新しいマクロ経済モデルの構築 ??? RIETI Policy Discussion Paper Series 11-P-007 ?????????????? ?????? ??????? ????????????? ?????????????????????????? 1 RIETI Policy Discussion Paper Series 11-P-007 2011 年 1 月 新しいマクロ経済モデルの構築 小林 慶一郎(一橋大学/経済産業研究所) 要旨 本稿では、金融システム(あるいは金融的摩擦)をマクロ経済モデルに入れる様々なア プローチについて整理し、新しいモデル化の手法を分析するとともに、今後の研究の方向 性を展望する。 金融危機後の経済低迷の要因として、経済主体間のネットワーク構造の変質が重要な役 割を果たしているのではないか、という問題意識のもとで経済モデルを考察するが、一方 で、標準的なマクロ経済モデルの枠内ではネットワーク構造そのものは直接的に分析でき ないという制約がある。そのため、経済主体間のネットワークの変質を、経済主体間の「支 払い活動」の機能不全と捉えなおして、モデルの構成とその分析を行った。 具体的には、運転資本の借り入れに担保制約を入れたモデルで、将来期待の変化が現時 点の景気変動を引き起こす News-Driven Cycle が発生することを発見した。また、同じく 運転資本の借り入れに制約を置くモデルで、企業の債務レベルに応じて定常状態が無数に 存在する場合があることを示し、ケインズ的な経済の長期的不確実性を理論化することを 試みた。さらに、Lagos-Wright 型の貨幣理論を銀行信用に応用した研究や、Diamond-Rajan 型の銀行取り付けモデルをマクロ経済モデルに埋め込む研究について、その意義と可能性 を展望する。 RIETI ポリシー・ディスカッション・ペーパーは、RIETI の研究に関連して作成され、政策 をめぐる議論にタイムリーに貢献することを目的としています。論文に述べられている見解 は執筆者個人の責任で発表するものであり、(独)経済産業研究所としての見解を示すもので はありません。 2 1. 金融危機とマクロ経済学 - ネットワーク性の観点 日本の 1990 年代以降の長期的な経済低迷のメカニズムを解明することは、マクロ経済学 の大きな研究課題である。日本の長期低迷については、生産性の低下、(社会保障制度の不 確かさなどに起因する将来不安による)消費需要の低迷など様々な要因が議論されている (たとえば金・深尾・牧野 2010)。その中で、特に本稿でとりあげる仮説は、不良債権問 題などに象徴される金融システムの機能悪化がマクロ経済の低迷をもたらしたのではない か、というものである。 金融システムの機能悪化がマクロ経済に深刻で長期的な影響を与えるという仮説は、日 本の過去の経験だけではなく、現在と将来の世界経済にも深く関係している。2008 年 9 月 のリーマン・ブラザーズ破綻によって世界的な金融危機が起きたが、その後遺症は今後も 長く続いていくと予想される。金融システムとマクロ経済のパフォーマンスの関連性を分 析し、金融システム関係の政策とマクロ経済政策の望ましい姿について考察する研究は、 これからの日本と世界の経済政策に大きなインプリケーションを有する政策的意義の高い 研究分野であるといえる。 1.1 金融要因モデル化の方法 - 現状と問題点 2008 年の世界的な金融危機以降、マクロ経済学の理論モデル - 特に金融政策の分析 に使われる動学的確率的一般均衡モデル(Dynamic Stochastic General Equilibrium Model、以下 DSGE モデルという) - に、金融システムが本質的に重要な役割を果た す形で導入されていない、という問題提起が世界中の経済学者から相次いでいる。金融シ ステムが本質的に入っていないマクロモデルでは、金融危機の予測や対策を分析できない から、マクロモデルに金融システムを導入する研究が喫緊の課題だ、と多くの研究者が認 識し、現在、様々な手法でマクロモデルに金融システムを入れる研究が相次いで発表され ている。 我々の研究も、同じ問題意識を共有する研究である。ただ、我々の研究は今次の世界的 金融危機が発生する以前から始まっており、1990 年代から 2000 年代にかけての日本経済 の長期低迷が研

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