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補助教材の決定に係る一考察 : 熊本県立中学校の社会科補助教材の決定をめぐる事例をとおして

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九州ルーテル学院大学
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Abstract

Microsoft Word - 4306 岩﨑詳二.docx VISIO №43 55-67.2013 55 補助教材の決定に係る一考察 ―熊本県立中学校の社会科補助教材の決定をめぐる事例をとおして― 岩 﨑 詳 二 A Study on the Adoption of Supplementary Teaching Materials: Through Decision: Making in a Supplementary Textbook of Social Studies for Prefectural Junior High Schools in Kumamoto Shoji Iwasaki Ⅰ はじめに 平成23年9月7日付け熊本日日新聞に次のような記事が掲載された。 県教育委員会は6日、定例会を開き、来春から県立学校で使用する教科書の採択結果を 発表。県立中3校で「新しい歴史教科書をつくる会」の流れをくむ育鵬社の公民教科書を、 副教材として使うことを明らかにした。・・・・・・教育長は、「現代社会が抱える課題に ついて、生徒に考えてほしい題材が多数取り上げられている」と説明。・・・・・・県立 学校で使う教科書は、県教委の委任を受けて教育長が選定する。ただ、副教材については 教育長の権限で決めることができる。・・・・・・ (平成23年9月7日付け熊本日日新聞より抜粋) 県立中学校の社会科(公民的分野)の副教材として平成24年4月から、育鵬社の公民教科書を 使用するとのことである。また同記事では、選んだ理由について、教育長は「教科書と副教材を 比較することで、原発問題や自衛隊の災害支援活動など社会の諸問題を、多面的、多角的に考え ることができる」と話したと伝えている。 この記事から幾つかの疑問点が生じてくる。例えば、「教科書は、県教委の委任を受けて教育長 が選定する」のであれば、なぜ当該教科書を使用教科書として採択せずに、補助教材として使用 することとしたのか。また「副教材については教育長の権限で決めることができる」とは、どん な根拠によるものなのかなどである。その後、市民団体からの反発や抗議、県議会での質問など 批判が相次ぎ、新聞でも引き続き取りあげられた。1 新聞記事によると、批判のおおかたは「育鵬社の教科書を使用すること」であるが、では、育鵬 社の教科書でなければ問題はないのであろうか。また育鵬社の教科書であったから、県教育委員会 は(新聞の表現を借りれば)トップダウン的なレア(まれな)手段をとったのであろうか。1-(5) 56 岩 﨑 詳 二 本稿では、学校管理規則の制定趣旨等を踏まえながら、県教育委員会と学校との関係から、補 助教材の取扱いについて考察を試みる。なお、「育鵬社の教科書」であるとか、「教科書を補助教 材として使用すること」の是非を問うものではなく、法令等を中心に補助教材の採択過程につい て考察をおこなうものである。また、「補助教材」2とは、学校教育法第34条2項で規定される「教 科用図書以外の図書その他の教材」のこととする。 Ⅱ 教育委員会と学校の関係 1.学校設置者と設置者管理主義 まず教育委員会と学校との関係を整理しておく。 学校教育法第2条では、学校は、国、地方公共団体及び私立学校法第3条に規定する学校法人 のみが、これを設置することができること、同条第2項で国立学校とは、国の設置する学校を、 公立学校とは、地方公共団体の設置する学校を、私立学校とは、学校法人の設置する学校をいう と規定している。 また同法第5条で「学校の設置者は、その設置する学校を管理し、法令に特別の定のある場合 を除いては、その学校の経費を負担する。」と規定している。この原則は、学校についての設置者 管理主義及び設置者負担主義3といわれている。 したがって、国立学校を管理するのは国、公立学校は地方公共団体が、私立学校は学校法人が 管理することになる。 なお、「法令に特別の定のある場合」の法令とは、市町村立学校職員給与負担法、義務教育費国 庫負担法、義務教育諸学校施設費国庫負担法、特別支援学校への就学奨励に関する法律、理科教 育振興法、高等学校の定時制教育及び通信教育振興法などのことである。(『教育関係者必携』熊 本県教育庁教育政策課監修 平成25年版 第一法規 2012年8月29日 国法編 p.123注解) また学校教育法では、市町村は、その区域内にある学齢児童、学齢生徒を就学

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