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Mitochondrial density determines the cellular sensitivity to cisplatin-induced cell death

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- 209 - 氏 名 銭 威 学 位 の 種 類 博 士(医 学) 学 位 記 番 号 第 4996号 学位授与年月日 平成 19年 3月 23日 学位授与の要件 学位規則第4条第1項 学 位 論 文 名 Mitochondrial density determines the cellular sensitivity to cisplatin-induced cell death (細胞のミトコンドリア密度はシスプラチン誘導性細胞死の感受性決定因子 である) 論文審査委員 主 査 教 授 井 上 正 康 副 査 教 授 荒 川 哲 男 副 査 教 授 平 川 弘 聖 論 文 内 容 の 要 旨 癌化学療法に様々な抗癌剤が使用されているが、それらの作用機序に関してはなお不明な点が多い。これま でに抗癌剤であるシスプラチンの細胞毒性発現にミトコンドリアが関与していることを明らかにしてきた。今 回、正常細胞及び癌細胞のミトコンドリア特性とシスプラチンによる細胞死の分子連関を解析し、その主作用 と副作用の発現機構におけるミトコンドリアの意義を明らかにした。 シスプラチンの副作用が発現しやすいラット小腸における組織内ミトコンドリア密度を解析した結果、十二 指腸で最も高く、空腸から回腸に向かって徐々に低下していくことが判明した。ラットにシスプラチンを静脈 内投与したところ、小腸粘膜組織ではミトコンドリア密度に比例して細胞死が強く誘導された。小腸上皮由来 のIEC-6細胞株のミトコンドリアDNAを枯渇させたρ0細胞(IEC-6-ρ0)を作製して解析した結果、ミトコンドリ ア密度の著減に伴いシスプラチンへの感受性も著しく低下することが判明した。生化学的解析の結果、シスプ ラチンの毒性発現がミトコンドリアの活性酸素産生量及びチトクロームc流出量に依存することが判明した。 種々の培養細胞株を用いて解析した結果、細胞のミトコンドリア密度とシスプラチン感受性が正の相関を示す ことも判明した。これらの所見は、細胞のミトコンドリア密度が本剤の主作用と副作用を決定する重要な因子 であることが示唆された。 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨 癌化学療法において様々な抗癌剤が使用されているが、その作用機序に関しては不明な点が多い。これまで に抗癌剤シスプラチンの細胞毒性発現にミトコンドリアが関与していることを明らかにしてきた。本研究は、 正常細胞および癌細胞のミトコンドリア特性とシスプラチンによる細胞死の分子連関を解析し、その主作用と 副作用の発現機構におけるミトコンドリアの意義を明らかにすることを目的として遂行された。 シスプラチンの副作用発現臓器である小腸をラットで解析した結果、粘膜組織中の細胞内ミトコンドリア密 度は十二指腸で最も高く、空腸から回腸に向かって徐々に低下していることが判明した。ラットにシスプラチ ンを静脈内投与したところ、小腸粘膜組織で誘導される細胞死がミトコンドリア密度に正比例して起こってい ることが判明した。シスプラチン毒性と細胞内ミトコンドリア密度の関係を解明するために、ラット小腸上皮 由来のIEC-6細胞株のミトコンドリアDNAを欠損させることによりミトコンドリア密度を低下させたρ0細胞 (IEC-6-ρ0)を樹立した。両培養細胞を用いて解析した結果、ミトコンドリア密度の著減したIEC-6-ρ0ではシ スプラチンへの感受性が著しく低下していること、およびシスプラチンの毒性発現がミトコンドリアの活性酸 - 210 - 素産生量に依存していることが判明した。ミトコンドリア密度の異なる種々の培養細胞株を用いて解析した結 果、細胞のミトコンドリア密度とシスプラチン感受性が正の相関を示すことが判明した。 これらの結果から、細胞のミトコンドリア密度と活性酸素産生量がシスプラチンの細胞毒性を決定すること、 および本特性が抗癌作用と副作用の発現に関与する可能性が示唆された。本研究は抗癌剤の作用機構における ミトコンドリアと活性酸素代謝の重要性を示すものであり、癌化学療法に有用な情報と考えられる。よって、 本研究者は博士(医学)の学位を授与されるに値すると判定した。

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