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旧ユーゴスラビア連邦:物流拠点港湾と基幹交通インフラの現状と課題

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東洋大学国際地域学部
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旧ユーゴスラビア連邦:物流拠点港湾と基幹交通イ ンフラの現状と課題 著者 赤塚 雄三 雑誌名 国際地域学研究 号 9 ページ 1-29 発行年 2006-03 URL http://id.nii.ac.jp/1060/00003723/ Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.1/jp/ 旧ユーゴスラビア連邦: 物流拠点港湾と基幹交通インフラの現状と課題 赤 塚 雄 三? 第1章 まえがき 旧ユーゴスラビア連邦港湾の多くはアドリア海沿岸に位置し、1990年以前は連邦の国際港湾とし て、計画経済に基づいた重化学工業関連の資源・製品を中心とする貨物の輸出入基地の役割を果た していた。しかし、連邦崩壊以降は、連邦を離脱した諸国が各国独自の経済圏を構成し、港湾整備 を図ると言った劇的な政策転換が起こり、背後圏も急速に変化している。こうした変化と同時に、 計画経済時代から30年余りの長期間に亘って続いた運輸交通基幹インフラの維持補修欠如の結果が 近年に到って負の効果をもたらしている。1990年以降の東ヨーロッパの体制転換の流れの中で、い ち早く独立を宣言して1991年に連邦を離脱したスロベニアは、戦禍を免れて2004年に EU加盟を果 たした。一方、クロアチア、ボスニア・ヘルツエゴビナ、セルビア・モンテネグロ、アルバニア、 マケドニアの諸国は、1999年の和平回復に到る間続いた民族抗争、ボスニア紛争、コソボ紛争、に 巻き込まれ、多大な戦禍を被った。コソボでは、和平回復後の現在でも民族間紛争が続いているが、 その他の地域では治安秩序も回復し、荒廃した国土復旧、民政安定、経済発展への懸命な努力が行 われている。 本稿は、上述のような認識の下に、アドリア海沿岸に展開する旧ユーゴスラビア連邦諸国の gate- way港湾群に着目し、港湾の現況、背後圏との陸上運輸ネットワークの整備状況、物流拠点として の役割、等についての調査結果を纏めたものである。取り上げた gateway港湾は、Rijeka(クロアチ ア)、Ploce(クロアチア→ボスニア・ヘルツエゴビナ)、Bar(セルビア・モンテネグロ)、Durres(ア ルバニア)に加えて、内陸国・マケドニアの海港としての Thessaloniki(ギリシャ→マケドニア)に ついても調査した。アドリア海沿岸域の大半を占めるクロアチア領アドリア海沿岸には、Rijeka、 Ploce両港の他にも、Zadar、Split、Dubrovnik等の諸港もあり、それぞれの地域社会の拠点港湾と しての機能を果たしており、これらの地域港湾についても調査し、gateway港湾との関連について報 告した。また、国によっては、ドナウ川(ダニューブ川)水系に河川港を整備して、物流拠点とし ての機能強化を図っている地域もある。そこで、ドナウ川水系の水運と河川港についての調査結果 を、第 7章に纏めて報告した。図―1.1に調査対象諸国の位置図、図―1.2に EU(中、東欧)運輸交 1国際地域学研究 第 9号 2006年 3月 ?東洋大学国際地域学部名誉教授 通回廊図を示した。 1999年の平和回復以来、今日までの旧ユーゴスラビア連邦の復興には、欧州連合(EU)、欧州復 興開発銀行(EBRD)、欧州復興庁(EAR)、欧州投資銀行(EIB)、世界銀行(WB)等が主な役割を 担って来た。これらの国際機関は、そのウエブサイトに多くの関連情報を公開している。本稿は、 国際地域学研究 第 9号 2006年 3月 図―1.1 旧ユーゴスラビア連邦諸国地図 図―1.2 EU(中、東欧)運輸交通回廊配置図 2 ウエブサイトを通して入手した上記関連情報に加えて、現地諸港湾・官公庁訪問調査に際して入手 した公刊資料、現況の観察結果を基にして纏めたものである。 第2章 クロアチア 2.1 概要 アドリア海に面して長大な海岸を有するクロアチアには、大小様々な港湾があるが、その中で、 Rijeka、Zadar、Split、Ploce、Dubrovnikの主要 5港が港湾協会を組織し、夫々の地域社会や国家 経済における機能を中心に、相互に補完、連携している。その中で、Rijekaは、特にクロアチア国 家経済の中で Gateway Portと位置づけられ、その背後圏は西バルカン諸国だけでなく、東ヨーロッ パ・中央ヨーロッパ諸国にも及ぶ可能性を持っており、その実現に向けて、国の財政支援を受けた 港

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