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The woollen industry in the west of England : early modern Wiltshire

Authors
Publisher
慶應義塾経済学会
Publication Date

Abstract

近世イングランド西部の毛織物工業 近世イングランド西部の毛織物工業 ク ィ ル ト シ ャ ー を 中 心 と し て - 米 山 秀 は じ め に 本稿は,産業革命に先立つ2 世紀余りの時期毛織物 工業の中心立地であったイングランド西部のウィルト シャーの毛織物工業の構造の転換を, フリング.ミル との関係にあらわれた大織元の性格の変化を通じて考 察しようとするものである。 西部の毛織物工業の一般的特質は,東部や北部と比 較した場合,次のニ点に求められる。第一に,東部や 北部においては梳毛系織物(Worsted, New Draperies) ないし小幅織物(kersiesなど)の生産がかなりの比重 を占めていたのに対し,西部においては, この間一貫 して広幅織物(broad cloths) の生産が圧倒的比重を占 めつづけたこと,第二に,東部や北部では例外的存在 である言裕な大織元(通常かなりの不動産を有しており C 3 )•gentlemen clothiers’ とも呼ぱれる)力’、,西部では広範 な展開をみたことである。 しかしながら, これらの一 般的特質を前提とした上で,少なくともウィルトシャ 一に関しては,次のような特徴も指摘しうる。第一に, スチュアート中期を過渡期として,西部の広幅織物生 產は,未染色広!!® 織 物 (White broad cloths) から染 色 広 幅 織 物 (Spanish clothsなど)へと重心を移動さ せること,第二に, ステュアート中期には, ウィルト シャーにおいても 'small entrepreneur’ の時代を経’ C 5 ) 験したことである。すなわち, ウィルトシャーにおい ては,未染色広幅織物生産と染色広幅織物生産とを基 礎に,チューダー期とスチュアート後期以降の二度に わたって,大織元が広範に展開したことになる。 本稿では, この両坊期における大織元とフリング. ミルの関係の相違を比較することにより,その間のエ 業の構造の相違の一端を解明する手がかりを得ること を試みたい。具体的には,大繊元が直営する仕上作業 場がフリング . ミルから分離するという変化,及び, 注(1 ) イングランド毛織物工業の地域差については,拙稿 rテューダー.ステュアート前期のイギリス毛織物工業—— 研究 史 的 考 察 J (『三田学会雑誌』第72卷第4号,1979年)pp. 124-127.参照。西部以外を扱った我が国における研究の 内,比較的最近のものを挙げると,東部に関しては,安元総「テューダー.スチュワート朝の都市経済—— ノリッチ•市 における新種毛織物工業一 J び三旧学会雑誌J 第62卷第8号,1969年),米川伸一『イギリス地域史研究序説』(1972 年),北部に関しては坂卷清I■ラン力シャー綿工業の成立—— 遺産目録分析を中心に—— J ( 『研究年報経済学』第38卷 第1号,1976年),常行敏夫「ヨークシャー毛織物工業の:^造と商人^ R. G .ウィルソン著 『ジュントルマン商人』 を中心にJ C r専修経済学論集』第11卷第2号,1977年),道重一郎r十六世紀後半におけるラン力シャー繊維工業一 綿業への移行つ前提としてJ (『立教経済学論叢』第16号,198唯 ),などがある。猶,西部に関しては,後述する。: (2 ) Bowden, P' J., The Wool Trade in Tudor and Stuart England. 1962. pp. 45-56. ( 3 ) 例えば,Moir, E.p ‘The Gentlemen Clothiers', (Finberg H. P. R., ed., Gloucestershire Studies. 1957), 角山栄rイギリス農村工業におけるrジ3^ントリ』織元の成立」( 『経済理論』第31号,1956年)など。 : ( 4 ) 東郁において,New Draperies導入以前のサフォーク•ュセックスの両州では,西部と類似の特質を指摘しう?)《 船山栄ー「絶対王政成立期における『問屋J 織元の歴史的性格」 『西洋史学』Vol. XXXV II. 1958年,参照。 : ( 5 ) Ramsay, G. D., The Wiltshire Woollen Industry in the Sixteenth and Seventeenth Centuries’ 2nd ed., 1965, Chap. V, esp. pp. 126-127. ( 6 ) 角山栄氏は,両時期の大織元の系譜的断絶性を指摘する一方,「資本の存在形態としては略々 性

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