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The public utility functions of forests and the domestic forestry policies in Japan from the global environmental point of view

Authors
Publisher
慶應義塾経済学会
Publication Date

Abstract

地球環境的視点からの森林の公益的機能と国内林業政策 「三田学会雑誌」85巻4 号 (1993年 1 月) 地球環境的視点からの 森林の公益的機能と国内林業政策 島 本 美 保 子 厅皁 第 1章国内の民有林管理の現状 第1節宮古市林業調査の結果から 第2節林家の採算性と育林投入の粗放化 第 2 章戦後民有林林政の環境の視点からの問題 第1節森林の計画,規制政策 1) 森林計画制度 2) 民有林にかかる伐採規制 ①保安林 ②自然公園法(1957年)による国立公園,国定公園,都道府県立自然公園 ③自然環境保全法(1972年)による自然環境保全地域 第2節林業補助金政策 1) 造林補助金 2) 構造改善事業補助金 第 3 章地球環境的視点からの森林管理の理論 第1節 これまでの林業経済論の視角 第2節 公共経済学および資源経済学の視角 第3節 地球環境的視点からの森林•林業経済論 第4節 地球環境の視点からの国内林業政策 第4 章地球環境的視点からの林業政策 第1節 森林のパリティ一不足払い制 第2節 パリティ一不足払い制の財政費用 第3節 パリティ一不足払い制の効果 汙 早 近年地球環境問題の一分野として熱帯雨林の減少が注目を浴びている。その原因は途上国の国内 的事情に起因するのみならず,日本を初めとした先進国による商業伐採の影響によるものであり, 国際的に非難を浴びてきた。また先進国においても森林保全への関心が高まってきており,1990年 にアメリカの連邦有林からの丸太輸出禁止,州有林からの丸太輸出制限等を内容とした「森林資源 保護および不足緩和法」が発効するなど_ 然保護を目的とした規制への動きが出始めている。 しかし他方で,現在日本の南洋材の主な輸入先であるインドネシア,マレーシアでは木材は重要 92 Q 6 2 0 )------ な外貨収入源であり,不用意な自然保護論はむしろ先進国のニゴとして非難される。 森林資源をめぐるこのように複雑な国際的動向に加えて,マクロ的な世界の森林資源ストック量 の長期的な趨勢の予測もまた困難である。M ath er (1 9 9 0 )は用材に関しては楽観的予測を,燃材に 関しては不足の深刻化の予測を立てている。これは主にF A O の予測に添ったものだが,今後の開 発途上国の経済成長に伴う1 人当たりの木材需要の変化,途上国を中心とした人口増加,石油等の 化石燃料の減少に伴うバイオマスとしての木材需要の動向といった需要側の状況の変化,地球温暖 化,酸性雨の森林資源に与える影響,自然保護を目的とした伐採規制の広がりといった供給側の状 況の変化が考慮されておらず,またこれらの要因を正確に予測することは困難である。 また枯渴性の資源が不可避的に減少する中で,これらの資源を再生可能資源によって代替しよう という動きが既に見られるし,そのための技術開発の必要も叫ばれている。このような状況も考え あわせると,再生可能な資源ストックである森林をできるかぎり温存することを考えるべきであろ う。そこで本稿では以上のような諸要因をふまえて,経済的に著しいダメージを与えない限りにお いて森林ストックを維持•育成していくという方向性を目指すべきであるという立場にたって議論 を進めることにする。 日本は世界最大の木材輸入国であり,また国土の6 割という森林資源の保有国であるから,この ような世界の動向は国内の林業とも密接な関係を持つ。また森林は気候条件の緩和,土砂の流失防 止,水の供給,C 0 2の固定,野生生物の保護など様々な機能を持つことは周知のとおりである。森 林ストックとして持続的に生産していくとともにこれらの機能を十分に発揮させるようにするとい う2 つの目的を両立させるためには,原生的な生態系を維持する森林,木材生産を行う森林などの, ゾーニングを慎重に行ない,現在ある人工林に関しては,林分を適正に管理していくことがぜひと も必要である。 しかし現在国内の森林では,戦後の人工造林政策により植栽された約一千万haの人工林の管理が 十分に行なわれていないことが大きな問題となっている。 岡森昭則(1987) によると間伐実施面積 は年必要間伐面積の約7 割であり,また九州の主要な林業地域である大分県日田地方においても, 50〜150ha規模の林家で再造林を放棄する林家が現われてきたとのことである。 このように森林の 管理が適正に行なわれていないと森林の公益的機能に悪影響を与えるという研究報告もある。有光 一 登 (1 9 8 7 )によると,密植された人工林で除間伐が実行されない場合, 森林の保水機能が低下し,

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