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Pour une sémantique argumentative et polyphonique

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慶應義塾大学藝文学会
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Abstract

論証とポリフォニーの意味論 (36) 『藝文研究』第 103号 論証とポリフォニーの意味論 喜田浩平 はじめに  Carel(2011)は Anscombre & Ducrot(1983)に代表される「論証」 (argumentation)の理論を批判的に継承し、さらに Ducrot(1984)が基 礎を築き、国際的な拡がりの下に活発に議論されている「ポリフォニー」 (polyphonie)の理論を組み合わせた画期的な研究である。それぞれの出発 点に対して様々な修正や新たな視点を付け加え、独自の理論を展開してい る。全体は大きく2つの部門に分かたれる。それぞれ「意味論的ブロック理 論」(la théorie des blocs sémantiques、TBSと略記)、「論証的ポリフォニー 理論」(la théorie argumentative de la polyphonie、TAPと略記)と呼ばれる。 前者は発話が言っていること、発話の中で言われていること、つまり発話 の「内容」(contenu)の理論であるのに対し、後者はそのような内容がど のように言われているのか、どのように提示されているのか、ということ を扱う理論である。前者が le ditの理論であるのに対し、後者は le direの 理論、あるいは前者が énoncéの理論であるのに対し後者は énonciationの 理論であると特徴づけることができる。  本稿は、Carelの提案する理論的枠組みの妥当性を検証すべく、その応用 を試みるものである。具体的には以下のような発話の意味について考察す る。 (1) Les Français ont découvert le vaccin contre l’hépatite B. (http://www.hepatites-info-service.org/, 15/4/2008) (37) 『藝文研究』第 103号 (2) Les Espagnols ont remporté l’Euro 2012. (La Voix du Nord, 30/8/2012) (3) Les Américains ont inventé la cover-girl. (Jean Renoir, Ma vie et mes films)  いずれも文タイプとして見れば、使用される文脈や状況に応じて様々な 解釈が可能であるが、以下ではそれぞれが実際に使用されたコンテクスト に議論を限定し、その中で付与される意味について考える。  (1)(2)(3)のような発話の意味の中には、複数の内容を区別することがで きる。そのうちの一つに特に注目し、TBSと TAPの諸概念を用いて記述 することを試みたい。 3つのタイプの内容  (1)(2)(3)にはそれぞれ少なくとも3つの意味内容を区別することができ る。これを「タイプA」「タイプ B」「タイプ C」と呼ぶことにし、詳しく 見てみよう。  まずタイプ Aの意味内容は、(1)(2)(3)の最も明示的な意味内容である。 それを「字義通りの」内容とか「文字通りの」内容と呼ぶかどうかは詳し い議論が必要なので、ここでは論じない1。インフォーマルな言い方をする と、この明示的な内容は、 (1)であれば主語が「フランス国民」とか「フラ ンス(という国)」とほぼ同義に理解され、それが「B型肝炎のワクチン を発見した」と主張する場合の、まさにその主張された内容である。先行 研究は「総称クラス」や「集合的述語付与」という概念を駆使してこの内 容を捉えようとしている 2。「総称クラス」(classe générique)は総称的発話 の意味を記述するために仮定される理論上の構築物である。総称的発話と は、特定の個体ではなく「種」(espèce)全体に関する一般的言明である。 そして総称的発話の下位区分として、「種」全体を対象としながらもその 個々の成員が区別されるものがある。そのような成員の集まりを「総称ク ラス」と呼ぶ。フランス語では、定冠詞単数形 leまたは laによる総称的 発話は「種」そのものに言及すると記述される(L’homme est mortel)。一 (38) 『藝文研究』第 103号 方、定冠詞複数形 lesによる総称的発話は「総称クラス」に言及するもの と記述される(Les hommes sont mortels )。  また、述語付与が「集合的」(collectif)であると言う場合、この概念は 「配分的」(distributif)という概念と対立するものである。主語が複数の 個体に言及する場合、

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