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マックス・ヴェーバー研究 ―ヨーロッパ社会学史の一齣―

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就実大学, 就実短期大学
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Abstract

就実論叢07_山川.indd - 85 - マックス・ヴェーバー研究 ―ヨーロッパ社会学史の一齣― A Study on the Sociological of Max Weber 山 川   基 小笠原   真 (奈良教育大学名誉教授) 1.はじめに―問題意識の所在  ここで取り上げるマックス・ヴェーバー(Max Weber,1864-1920)といえば、「社会科学の 巨人」(1)とか「現代社会科学の巨人」(2)とか、また「20世紀最大の社会科学者」(3)とか「世 界で最高の社会学者」(4)、さらには「20世紀の人文社会科学に大きな影響を及ぼした現代社 会学の父」(5)と評価されているように、ヨーロッパ社会学史を展開するに当たっては、決 して見落とすわけにはいかない巨匠であることに疑う余地はなかろう。ところが、私達の一 人が、ヴェーバーに関しては二著すなわち『ヴェーバー宗教社会学の新展開』(有斐閣、 2003年)と『ヴェーバー社会学の新展開』(〔株〕ユニテ、2010年)を広く世に問うているの で、ここでは次の点に限定して執筆を進めることにしたい。  まず、ヴェーバーの社会科学は、科学的社会主義の祖つまりカール・マルクス(Karl H.Marx,1818-83)による歴史の体系的構造理論をまさに批判し克服するために書かれたもの である、と言われる(6)。すなわち、このことを敷衍すれば、ヴェーバーはマルクスの諸概 念や歴史の発展法則を一定の問題意識によって構成された一つの「理念型」(Idealtypus)と して、その発見的価値を十分に認めながらも、経済(「下部構造」=「土台」)以外の諸要因、 特に宗教および政治(「上部構造」)という要因、もっと正確にいえば、宗教および政治の領 域における「社会的行為」の動機から、歴史的生起の因果連関を理解しようとした。ここに 彼の社会学の中核を形成する「宗教社会学」(Religionssoziologie)と「支配(政治)の社会学」 (Soziologie der Herrschaft oder politische Soziologie)とが成立するのである(7)。  そこで、限られた紙数にあって私達は彼の死後7部10巻の論文集のなかから、『宗教社会学 論集』(Gesammelte Aufsätze zur Religionssoziologie)の第1巻に収められた単一論文としては最も 科学的論争を呼んだ「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」(Die protestantishe Ethik und der Geist des Kapitalismus)およびその姉妹編の、「プロテスタンティズムの諸教派と資本主 義の精神」(Die protestantishen Sekten und der Geist des Kapitalismus)と『経済と社会』(Wirtschaft und Gesellschaft)の第一部第3章の「支配の諸類型」(Die Typen der Herrschaft)および第2部第 9章の「支配の社会学」(Soziologie der Herrschaft)にもっぱらスポットをあててみたい。そして、 就実論叢07_山川.indd 85就実論叢07_山川.indd 85 11.1.20 9:34:46 AM11.1.20 9:34:46 AM プロセスシアンプロセスシアンプロセスマゼンタプロセスマゼンタプロセスイエロープロセスイエロープロセスブラックプロセスブラック - 86 - 彼の『宗教社会学論集』からは、「なぜ近代資本主義は近代ヨーロッパにだけ 4 4 4 成立したのか?」 (8)を解明する過程で、近代経済社会の大きな特徴は金銭欲にあり、その極めて強烈な金銭欲 をもつ主体の行動が支配的な役割を演じるという、所謂通俗的見解を徹底して批判している点 を明らかにしてみたい。また、彼の「支配の諸類型」や「支配の社会学」からは正当的支配の 三類型としてヴェーバーが挙げるあまりにも有名な「カリスマ的支配」(charismatische Herrschaft)、「伝統的支配」(traditionale Herrschaft)、そして「依(合)法的支配」(legale Herrschaft)について分析検討し、併せて 「依(合)法的支配」 の純粋型たる「官僚制(的)支 配」を「家産制的官僚制」から「近代官僚制」への歴史的発展において吟味検討してみたい。 そして、「近代官僚制」の功罪についても一瞥を与えたい。 2.ヴェーバーの生涯と

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