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トゥーリズムをめぐるネパール : ローカルな対応

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明治学院大学国際学部付属研究所
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???????????????????????????????????????????????? ???????????????????????????????????? ????????????? ???????????????????????????????????? ? ? ????? ???????????????????????? ?????????????? ????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????? ????????????????? ??? ??????????????????????????????? ?????? 81 トゥーリズムをめぐるネパール ――ローカルな対応―― 森 本 泉 20 世紀半ば以降、トゥーリズムはグローバル化の進展と共に世界諸地域に広がっていった。トゥ ーリストの訪れる地域にトゥーリストエリアが創出され、自らは生まれ育った村から出たことのない 地域の人々をもトゥーリズム現象に取り込んできた。この過程で第三世界におけるトゥーリズム開発 はしばしば先進国の資本を誘致し、新植民地主義的状況を招来してきたといわれている。しかしなが ら、このような世界経済における非対称的な関係の構図において、第三世界におけるトゥーリズムの 展開状況、とりわけローカルな人々の経験している状況を十分に説明することはできない。また、同 じ第三世界でもカリブ諸島のようにトゥーリズム収入が GDP の 80%を占める地域もあれば、ネパー ルのようにトゥーリズムが基幹産業に位置づけられながらもその収入の割合が GDP の 3%程度にと どまっている(2001 年推計)地域もあり、多様な第三世界を一様に語ることもできない。先進国か らのトゥーリストの来訪が前提となっている点では先進国に依存的ではあるが、第三世界の全ての地 域が特定の先進国とのいわゆる植民地主義的な関係においてトゥーリズム開発が進められているわけ ではないし、一方的にグローバル化に包摂されているわけではない。 本報告では、トゥーリズム現象の起こっているグローバルな世界経済を背景に、ローカルの人々が それにいかに対応しているのか、その実態の諸相を、ネパールの事例から呈示することを目的として いる。 ネパールはチベット高原とインド亜大陸の衝突地点、ヒマラヤ山脈のほぼ南斜面に位置する国であ る。高度差により、北部には標高の高い山岳地帯が広がり、中間部の丘陵地帯をはさみ、南部にはト ラやゾウがうろつく亜熱帯ジャングルが広がる。この多様な自然と、その自然に対応した多様な民 族・文化が、ネパールにおける重要なトゥーリズム資源となっている。ネパールにおけるトゥーリズ ムは、自動車道が通らないところでも歩けるところであればトゥーリストは出かけるし、より辺境を 志向することから、辺境に開発の機会をもたらしてきた。この点において、トゥーリズム産業はイン フラストラクチュアが整備された地域が指向される他産業の開発とは異なる開発のあり方を呈してい るといえよう。 1950 年代まで鎖国してきたネパールが公式に開国した背景に、世界最高峰を頂くヒマラヤ山脈に 向けられた西洋のアルピニズム願望があったことは否めない。開国後、一時中断はあったものの、世 界中のエリート登山家たちがエヴェレストをはじめとしたヒマラヤの高峰を目指してネパールを訪れ るようになったのが、ネパールにおけるトゥーリズムの始まりとされる。1960 年代から 1970 年代に かけて、非西洋、非近代を求めるヒッピーと呼ばれる欧米の若者たちが、ネパールの首都カトマンド ゥを目指して集まってきた。1980 年代以降になると、ヒッピーではないトゥーリストたちが欧米か らだけでなく、日本をはじめとしたアジア諸国・地域からも訪れるようになった。トゥーリストの増 82 加、多様化に伴い、ヒマラヤの麓を歩くトレッキングや、ヒマラヤ山脈を南北に刻む川でのラフティ ング、南部の亜熱帯ジャングルで野生動物を鑑賞するジャングル・サファリなどのトゥーリズム形態 が導入され、地理的規模的も拡大し、質的にも多様化していった。この時期にネパールのマス・トゥ ーリズムが始まったといえよう。1980 年代後半になるとトゥーリスト数の増加を受けてトゥーリズ ムが基幹産業に位置づけられるようになり、外貨獲得手段としてはもとより、ネパールの経済開発計

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