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Developments in Child Raising and Child Raising-Related Policies in Thailand: A Study Based on the Comparison of Rural and Urban Areas

Authors
Publisher
国立女性教育会館
Publication Date
Keywords
  • タイ
  • 子育て
  • 父親の育児参加
  • 中進国
  • 共働き
  • 早期教育
  • 家族規範
  • ソーシャル・セーフティ・ネット

Abstract

国立女性教育会館研究ジャーナル vol.―11.―August.―2007 �� 1.はじめに 本稿の目的は、国立女性教育会館の研究事業として 行われた「平成16年度・17年度家庭教育に関する国 際比較調査」(以下「2005年調査」)の中から、タイの 子ども政策、子育て状況に関して得られた知見につい て都市―農村間の比較を通じて整理を行い、タイの子 育ての特徴を明らかにするとともに、他国の子育てと の比較にあたっての課題を抽出することにある。同 タイの子育てと子ども政策の展開 ――都市と農村の比較―― 江 藤 双 恵 要 旨 本稿の目的は、国立女性教育会館の研究事業として行われた「平成16年度・17年度家庭教育に関す る国際比較調査」(以下「2005年調査」)の中から、タイの子ども政策、子育て状況に関して得られた 知見について都市―農村間の比較を通じて整理を行い、タイの子育ての特徴を明らかにするとともに、 他国の子育てとの比較にあたっての課題を抽出することにある。性別役割分業意識は高いが、共働き 世帯が多く、夫婦ともによく働き、子育てにも平等に従事して子どもの成長への満足度が高い。父親 の接触時間の長さ、子どもへの期待の強さ、親子の密着ぶりも6ヵ国随一である。都市でも農村でも教 育熱は高まっているが、家族の状況や経済力に応じて子育て方針や支援の受け方は異なる。この10年 間に「中進国」へと変化したタイでは、子育て状況にも多くの変化が見られた。「2005年調査」では、家 族規範が明確化し強固なものになったと解釈できる結果が示されたが、この背景には、旧タクシン政 権の政策だけでなく、1997年以降の通貨・金融危機によってリストラ、失業、インフレなどの打撃を 受けた人々の実体験があるだろう。その結果「子育ては楽しい」と感じる親の比率が激減し、他の5ヵ 国と比較しても圧倒的に少ない状況が生じている。経済的にもライフスタイルのうえでも大きく異な る農村―都市間で比較すると、農村の方が子育てを楽しまず、子どもに老後の経済的な支えとなるこ とを期待する度合いが強い。子どもにソーシャル・セーフティ・ネットとしての役割を期待する動き が強まっているのかもしれない。今後の課題は、子育ての楽しみの少なさ、父親の育児参加度の高さ、 家族規範と性別役割分業意識の強さ、子どもへの期待の高さ、子育て職業の両立に関する悩みの少なさ、 農村―都市間の違いなど、さまざまな特徴に関して明確な因果関係や相互の連関に関する議論を行う ことであろう。この点について、他の要因も含めて仮説をたてて検証する作業を継続していきたい。 キーワード:タイ、子育て、父親の育児参加、中進国、共働き、早期教育、家族規範、ソーシャル・ セーフティ・ネット 論   文 特 集 研究ジャーナル−第11号 �� 論文 調査では、6ヵ国で0歳から12歳までの子どもを育て ている父母を対象としてサンプル調査を実施する一方 で、行政担当者や専門家にヒヤリングを実施した。 タイにおけるサンプル調査(2005年秋~2006年1 月、以下「サンプル調査」と称す)は、AC…NIELSEN… THAILANDに委託し、また、ヒヤリング調査は2006 年2月6日~15日に国立女性教育会館客員研究員の酒 井と江藤とで実施した(以下、「ヒヤリング」)。本報 告の内容は、「サンプル調査」結果および「ヒヤリング」 以外に、その後2006年8月に実施したバンコクのタ イ母乳センター、ロイエット県、サコンナコン県農村 部での子育て中の母親への聞き取り、12月のコンケ ン県での母乳育児と早期教育に関する聞き取りに基づ いている。 2.タイにおけるサンプル構成とヒヤリング 調査 「サンプル調査」では、2000年度の人口・世帯セン サスの比率に基づき、バンコク、中部、北部、東北部、 南部において、それぞれ都市部と農村部の人口比に応 じたサンプルを収集した。タイでは都市―農村間、各 地方間の子育て環境には違いが見られると想定された ので各地方の都市部・農村部を訪問したかった。しか し、日程が限られていたため、都市部はバンコクのみ、 農村部は東北部コンケン県内で調査を実施した。教育 省では、国家教育委員会(以下ONEC)1)で教育改革 政策および当時のタイ愛国党、タクシン政権下(2001 ~2006)の子ども政策について、コンケン県第一地区 教育委員会2)では、農村部における教育改革の実態、 就学前教育、各教育施設が直面する問題につい

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