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〈原著〉乳癌個別化化学療法への基礎的研究 : チミジル酸合成酵素遺伝子多型と酵素蛋白発現の解析から

Authors
Publisher
近畿大学医学部
Publication Date
Keywords
  • チミジル酸合成酵素
  • チミジル酸合成酵素遺伝子多型
  • チミジル酸合成酵素遺伝子多型と酵素蛋白発現
  • フッ化ピリミジン系薬剤
  • 乳癌
  • 化学療法

Abstract

[抄録]フッ化ピリミジン系薬剤はチミジル酸合成酵素(TS)を阻害しDNA合成障害を引き起こす. TS遺伝子には5'-非翻訳領域(UTR)の28塩基反復配列多型(3R,2R)と, 3'-UTRで6塩基(bp)の欠失を認める遺伝子多型(-6bp) および欠失を認めない(+6bp)遺伝子多型が存在する.リンパ節転移陽性乳癌49例を対象に正常組織および腫瘍組織におけるTS遺伝子多型とTS発現を解析し,それらの関連性を検討した.TS遺伝子5'-UTRの遺伝子多型が正常組織で3R/3Rは8例, 2R/3Rは36例,正常組織で2R/3Rで癌組織でも 2R/3Rは36例中14例で, 22例は2Rのアレルが欠失する loss/3R であった.正常組織と癌組織でTS遺伝子3'-UTRの+6bp/+6bp遺伝子型は,それぞれ25例,7例,-6bp/+6bpは22例, 13例,-6bp/-6bpは2例, 29例であった. 正常・癌組織のいずれにおいてもTS遺伝子5'-UTRの遺伝子多型とTS発現に関連は認められなかった. しかし,正常組織で+6bp/+6bp 25例のTS発現は9.5±9.8ng/mg蛋白で,-6bp/+6bp 22例のTS発現と比べ有意に高値であった. また癌組織においても+6bp/+6bp 7例のTS発現は29.2±17.4ng/mg蛋白で,-6bp/+6bp 29例のTS発現と比べ高く, 13例の-6bp/-6bpのTS発現と比べ有意に高値であった. TS遺伝子3'-UTRの6塩基欠失を認める遺伝子多型および、欠失を認めない遺伝子多型は,乳癌組織と正常組織のいずれにおいてもTS発現に影響を及ぼしていると考えられ, TS遺伝子3'-UTRの遺伝子多型はフッ化ピリミジン系薬剤による乳癌個別化化学療法の選択因子としての可能性が示唆される.

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