Affordable Access

On the Water Use in Nara Basin

Authors
Publisher
奈良大学
Publication Date

Abstract

我が国の水資源開発は、水利用の現場に「近い水」を疎かにしながらダム建設などにより「遠い水」を求めることを基本として進められてきた。その最たるものは流域変更、すなわち水利用の場とは別の流域からの分水を伴う開発事業である。それはしばしば過剰な開発となり、自然の水循環を分断して計り知れない環境破壊をもたらしてきた。奈良盆地は都市用水・農業用水ともそういう「遠い水」に依存するところが大きい。ただ奈良盆地の場合、その自然条件と開発の歴史の古さから、他とは格段に水不足を生じやすく、膨大な数の溜池の築造など「近い水」の徹底的利用のシステムを作り出したうえで、なお足りないところを吉野川-紀ノ川水系や淀川水系からの分水に求めるに至ったもので、その要求は他所の場合--そこではしばしば水利用主体からは超絶したところにある開発主体が架空の水需要を言い立てて「遠い水」の取得に人々を駆り立てる--とは異なり、内発的なものであったといえる。しかし、いったん他流域からの豊富な水を得てからは、厳しい水利慣行を背負った「近い水」の利用度は低下し、一方では高度経済成長期から続く農地の減少による灌概用水の需要減があり、他方では高度経済成長期以来の高率の人口増や工場進出の減速・収束による都市用水需要の停滞もあって、この奈良盆地でも「水あまり」が顕在化しつつある。それでもなお、高度経済成長期以来の趨勢を前提として立てられた開発計画に固執する向きがあり、過剰が深化していく可能性もある。

There are no comments yet on this publication. Be the first to share your thoughts.