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A CGE model based on the firm nationality Approach : a preliminary note

Authors
Publisher
慶應義塾経済学会
Publication Date

Abstract

企業国籍アプローチに基づくCGEモデルの構築:予備的考察 「三田学会雑誌」91卷 2 号 (1998年 7 月) 企業国籍アプローチに基づく C G Eモデルの構築: 予備的考察 * 木 村 福 成 堤 雅 彦 1 . 企業国籍アプローチの必要性 企業活動が国際化し,世界経済の統合度が高まるにつれて,従来の居住者概念にもとづく統計体 系の限界が強く認識されるに至っている。 IM F (International Monetary Fund :国際通貨基金)の国 際収支マニュアルによれば,「個人,法人などが,ある国の経済領域の中に,住居,生産の場所ま たはその他の建物などの拠点を設け,無期限にもしくは一定期間(ガイドラインとしては1 年以上) にわたり,相当規模の経済活動および取引に従事している場合,その個人,法人などは,その国に ( 1) 経済利益の中心を有しており,その国の居住者である」とみなされる。国民所得統計およびその体 系の一翼を担う国際収支統計は,この居住者概念に基いて作成されている。国民総生産(Gross National Product: G N P )とは, 1 国の居住者によって生み出された付加価値の総計である。また 国際収支統計は,居住者と非居住者の間の取引フローを記録するものである。 企業活動の国際化の進展は,本国の親会社と海外の子会社の行動を一体のものとして分析する必 要性を増大させている。親会社,海外子会社の両方を含む企業(もしくは企業グループ)は,技術, 経営管理能力,マーケティング• ノウハウなどの企業固有の資産によって性格づけられる。ダニン ダのO L I理論に則して言えば,企業は,自らの有する企業特殊資産の投入から生じる利潤が最大 となるように,どのような活動を内部化し,またそれをどこに立地させるかを決定する。企業活動 の国際化が進んできた現在,国境をまたぐトランザクションのうちでも財貿易以外のものの重要性 が高まってきている。それを経済主体の行動まで降りて理解するには,少なくとも親会社と海外子 会社が一体となって経済的意志決定を行っているとみなす必要がある。しかし,既存の居住者概念 * 野村浩ニ氏を始めとする経済学会木更津コンファレンスの参加者からは,様々なコメントを頂いた。 また,本研究に関しては,黒田昌裕氏,P. P etr i氏からも助言を頂いた。ここに感謝の意を表したい。 ( 1 ) 日本銀行国際収支統計研究会(1996),10ページ。 ( 2 ) Dunning (1993)。 3 1 { 199 ) に基づく国際収支体系では,親会社と海外子会社はそれぞれ本国と外国の居住者として足し上げら れてしまい,一体化した経済活動としては把握しえない。 1 国の主権の及ぶ地理的範囲での経済活動の把握,あるいは経済活動から生ずる付加価値の帰属 の問題などについては,従来からの居住者概念に基づく統計体系が相変わらず有効である。しかし, 企 業 (あるいは企業グループ)を単位として把握すべき経済活動については,新たな統計概念に基 づく統計デ一タの収集,整理が必要である。以上のような問題意識から, Baldwin and Kimura (1 9 9 6 )とKimura and Baldwin (1 9 9 6 )は企業国籍アプローチを提唱した。これは,だれが企業 をコントロールしているか(統計処理上は株式の過半を有しているかどうかによって仕訳をする)によ って各企業に国籍を付し,国際間取引の統計を再整理しようとするものである。これら2 本の論文 では,アメリカとその他世界, 日本とその他世界の間の取引を企業国籍概念に基づいて集計し直し た。それによって,企業国籍アプローチが従来の統計体系では捉えられなかった企業活動の現状を 把握するのに有効であることが確認され,また海外子会社の活動が無視しえぬほど大きいこと,企 業国籍によって企業行動が大きく異なることが明らかにされた。木 村 (1997a, 1997 b ), Kimura (1 9 9 8 )は,モデルを日本,アジア,その他世界の3 地域に拡張し,日本企業が外国人に製品を販 売する場合の生産立地と販路を分析した。もともとの統計データはこのような利用を想定したもの ではないのでこれらの推計作業には多くの困難が伴うが,アプローチの有効性は明確に裏付けられ た。 海外子会社の活動が無視できぬほど大きく,しかもその行動が現地の企業と大きく異なることは, これまでの研究で明らかとなってきた。それにつれて,数量的な政策研究においても企業国籍アブ ロ一チを導入する必要性が強く認識されるに至っ

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